Autologous Adipose-Derived Stem Cell Therapy

自家脂肪由来間葉系幹細胞治療

幹細胞は、自己再生能力に優れ、必要な場所で多様な細胞に変化します。
この特性により、成長や修復をサポートし、新しい細胞を生み出す重要な役割を果たします。
幹細胞治療ではこの力を活用し、傷ついた組織の修復や機能回復を促進します。

自分の幹細胞を用いて修復する根本治療

幹細胞は、自らを複製し、さまざまな細胞に分化できる能力をもつ細胞です。痛みに対して、対症療法が一時的に症状を抑えるのに対し、幹細胞治療は損傷や病気の原因に直接アプローチし、体の自然な修復力を引き出す根本的な治療を目指します。

幹細胞を投与することで、ケガや病気で傷ついた組織に集まり、必要な細胞へと変化しながら新しい細胞を生成します。関節症や皮膚損傷、自己免疫疾患などの幅広い疾患に対応し、拒絶反応が少ない安全性の高い再生医療として注目されています。

当院で採取した脂肪組織は、品質や安全性を厳密に管理される専用の培養施設で幹細胞を分離し培養しています。

培養施設:株式会社セルバンク
▼公式サイト
https://cellbank.co.jp/

品質と安全性について
https://cellbank.co.jp/hcps/safety_qualitycontrol/

幹細胞の種類

幹細胞は、その性質によりさまざまな種類に分類されます。再生医療では、皮下脂肪や骨髄などから採取される「体性幹細胞(成体幹細胞)」が主に用いられています。

なかでも、体性幹細胞の一種である「間葉系幹細胞」は、多様な組織の修復に関与し、再生医療の中心的な役割を担います。

身体から採取されるおもな幹細胞

治療に広く活用される脂肪由来幹細胞(ASC)

従来は主に骨髄由来の幹細胞が使用されてきましたが、近年では、患者様ご自身の脂肪から採取できる、脂肪由来幹細胞(ASC:Adipose-derived Stem Cells)が注目されています。

ASC は、採取が比較的簡単で身体への負担が少ないことに加え、含まれる幹細胞の量が多く、成長因子や免疫抑制作用にも優れているため、再生医療の分野で広く活用されています。

幹細胞治療で改善が期待される疾患の一例

体内の修復機能を支える幹細胞は、老化や病気で傷ついた組織を回復させる重要な役割を担っています。これらの細胞が分泌する成長因子やサイトカイン、エクソソームが組織の再生を促進し、従来の治療法では難しかった病状への改善が期待されています。
幹細胞治療は、多くの疾患に対する新しい希望として注目されています。

当院が提供する幹細胞治療

慢性疼痛

けがや病気が治癒した後も続く痛みや、明確な原因がはっきりしない痛み、心因性の要素を含む痛みなどで、長期にわたり持続するものを指します。日常生活に支障をきたすこともあり、早期の対応が重要です。

変形性関節症

関節の軟骨がすり減ることで炎症や痛みが起こる疾患で、特にひざや股関節、指などに多くみられます。関節の軟骨が徐々にすり減って、骨同士が直接こすれることで痛みや動きの制限が起こる疾患です。

慢性疼痛への幹細胞投与

慢性疼痛は、けがや病気などが治った後も3 ヶ月以上にわたって持続する痛みのことを指します。痛みが長引くことで、日常生活や睡眠、心理的な健康にも大きな影響を与え、生活の質(QOL)を低下させる原因となります。

慢性疼痛は、主に以下の3 つの要因が複雑に関与して生じると考えられています。

侵害受容性

関節や筋肉、内臓などの組織が損傷したことによって感じる痛み。炎症や圧迫などが原因となります。

神経障害性

神経そのものに損傷や機能異常が生じることで発生する痛み。しびれや焼けつくような痛みを伴うことがあります。

心因性

ストレスや不安、うつなど心理的要因が関係する痛み。明確な身体的異常が見つからないこともあります。

損傷組織を修復する幹細胞の力

慢性疼痛はこれまで根本的な治療が困難とされてきましたが、間葉系幹細胞を用いた治療により、炎症の軽減と組織の修復が期待されています。幹細胞が分泌する生理活性物質が損傷した組織を修復し、機能を回復させるため、新たな治療の選択肢となっています。

主な症状

  • 痛みが特定の部位に集中し、3ヶ月以上、あるいは長期間にわたって持続する
  • 手術後に痛みが長引き、1ヶ月以上にわたって続く
  • ケガや病気の治癒後も、痛みが1ヶ月以上残る
  • がん、糖尿病、帯状疱疹などが原因で、神経に関連した痛みが慢性的に続く
従来の対症療法

運動療法・理学療法

ストレスの緩和や痛みへの意識を変えることで、慢性疼痛とうまく付き合うことを目指す

薬物療法

神経障害性疼痛治療薬、消炎鎮痛薬、などを使用し、痛みをコントロールする

認知行動療法(CBT)

ストレスの緩和や痛みへの意識を変えることで、慢性疼痛とうまく付き合うことを目指す

自家脂肪由来間葉系幹細胞治療(ASC)

幹細胞は、痛みの原因となる部位へ集まる特性を持ちます。

幹細胞が産生する生理活性物質が損傷組織に作用し、炎症を抑えながら再生と修復を促します。

変形性関節症への幹細胞投与

加齢や関節への負担、外傷などをきっかけに、関節の軟骨が徐々にすり減って、骨同士が直接こすれることで痛みや動きの制限が起こる疾患です。主に、ひざ・股関節・肩・腰・手指など、体重や動作の負荷がかかる部位に生じやすい傾向があります。

進行すると関節の変形がみられ、日常生活に支障をきたすこともあります。ヒアルロン酸注射のような保存療法で十分な改善が得られない方に、損傷した組織の修復を目指す治療として幹細胞治療が注目されています。

変形性ひざ関節症

加齢や長年の負荷、けがの後遺症などが原因で、ひざ関節の軟骨がすり減っていきます。階段の上り下りや歩行が辛くなるなど、動作の制限を感じるようになり、進行すると、関節の変形が生じ、最終的には人工関節置換術が検討されるケースもあります。

ヒアルロン酸注射

関節の動きを滑らかにし炎症を緩和しますが、効果は一時的で定期的な通院が必要です。

人工関節置換術

損傷した関節を人工物に置き換える手術で、改善効果は高いものの入院やリハビリが必要です。

PRP療法

自分の血液から抽出した成分を注入し、自然治癒力を活かして炎症や痛みの軽減を図ります。

自家脂肪由来間葉系幹細胞治療

体内の損傷組織を修復する力を活かした再生医療です。痛みや炎症の改善が期待され、早期の治療で進行抑制にもつながります。手術を避けたい方の選択肢として注目されています。

股関節の関節症

股関節は、動きや負担が大きいため、加齢や長年の負荷、怪我の影響により軟骨がすり減り、痛みや可動域の制限が現れることがあります。

進行すると関節の変形が生じ、衣服の着脱や歩行、立ち座りなどの日常動作がつらくなります。

このような症状に対し、幹細胞治療は、軟骨の修復を促進し、痛みを軽減するための有力な治療法となっています。

期待される
効果
  • 痛みの軽減 関節の炎症を抑え、つらい痛みをやわらげます
  • 関節の動きが滑らかに 可動域の改善が期待でき、日常動作がスムーズになります。
  • 歩きやすさの改善 歩行時の引っ掛かりや違和感が軽減され、動きやすくなります。

治療の流れ

1

診察・血液検査

診察と血液検査を受けていただき、患者様の健康状態を確認したうえで幹細胞治療の適応可否を判断し、治療計画を立てます。

2

脂肪採取と採血

患者様の腹部や太もも等の脂肪組織を採取します。脂肪採取の所要時間は1時間程度で、当日はご帰宅いただけます。また、細胞の培養に使用するための血液も合わせて採血します。

3

幹細胞の培養・増殖

採取した脂肪組織は、品質や安全性を厳密に管理される専用の培養施設で幹細胞を分離し培養を行うため、必要な数まで増殖されます。培養に時間を要するため、脂肪採取から投与まで数週間かかります。

4

幹細胞を投与

培養した幹細胞を、患者様の体内に投与します。投与方法は点滴投与または局所注射で、治療の目的や部位によって異なります。

5

経過観察

投与後は、治療の効果や副作用の有無を確認しながら、経過を観察します。